スマートフォン肌分析の技術的な壁と乗り越え方

角度や距離、照明が少し変わるだけで、肌分析の結果は揺らぎます。撮影の煩わしさを減らしながら精度は守る、その地点をどう探しているのかについての記録です。

スマートフォン肌分析の技術的な壁と乗り越え方

前回の記事で、肌は頻繁に測ってこそ流れが見えると書きました。ただし、これにはひとつ前提が付きます。毎回似た条件で撮らなければならない、ということです。今日は窓辺で正面から、明日は部屋の中で斜めから撮ったなら、その2枚の写真の違いが肌の変化なのか撮影の違いなのか、わかりません。

実際、私たちが外部とのミーティングで最もよく受ける質問もこれです。「ユーザーはばらばらに撮るはずなのに、その結果を信じられるのですか」。もっともな質問であり、私たちが最も多くの時間を注いでいる部分でもあります。

角度、距離、照明が結果を変えます

自由に撮らせておくと、写真はばらばらになります。

  • 角度:顔を少し上げたり下げたりすると、ほうれい線とたるみの見え方が変わります
  • 距離:近くで撮ると顔が歪み、離れると細部がつぶれます
  • 照明:窓辺の自然光と蛍光灯の下では、色素と赤みはまったく違って写ります

問題は、この違いが実際の肌の変化より大きくなりうるところにあります。そうなると、前の記事で述べた「点が描く線」は、肌の流れではなく撮影条件の流れになってしまいます。

しかもスマートフォンは機種ごとに違います

ここにもうひとつ重なります。人によって使っているスマートフォンが違うということです。

機種によってカメラの画素数やレンズ特性が異なり、色の処理の仕方もメーカーごとに違います。同じ顔を同じ場所で撮っても、機器ごとに結果が少しずつ変わります。クリニックの機器のように1台の機械を管理する状況とは、前提が異なります。

これはスマートフォンを選んだ代償です。誰もが自分の手にある機器で測れるという利点を得る代わりに、その多様性を引き受けなければなりません。

だから「理想的な一点」を探しています

最も単純な解決策は、撮影条件を厳しく管理することです。決められた距離、決められた角度、決められた照明。しかしそうすると、精度は上がっても誰も毎日撮らなくなります。頻繁に測れることがスマートフォンの最大の利点なのに、その利点を自ら消してしまうことになります。

そこで私たちは、逆からアプローチしました。実際のユーザーがどう撮っているかを観察し、そのデータをもとに2つが交わる地点を探しています。撮影の手間は最小限に減らしながら、評価結果の精度は保たれる地点です。

正解がひとつに決まっている問題ではなく、データを見ながら調整し続ける作業に近いものです。この過程で見つけた方法は、特許として出願してあります。

ばらつきは測ってこそ減らせます

機器と環境による違いには、学習でアプローチします。ただし、やみくもにデータを増やす方式ではありません。

私たちは、さまざまな条件で撮影された写真にモデルを適用したうえで、その結果が条件によってどれだけ散らばるかを分析します。同じ肌なのに機種が変わったとき値がどれだけ動くか、照明が変わったときどの軸が特に敏感かを分けて見ます。6つの軸の中でも、色素と赤みは照明に、しわとたるみは角度により敏感に反応するため、軸ごとに異なる対応が必要です。

こうしてばらつきの大きさと原因を確認したうえで、弱い条件のデータを補強し、モデルを再学習させます。そして同じ方法でもう一度測定します。ばらつきを目で見られなければ、減らすこともできないからです。

ひとつの機種、ひとつの照明条件に合わせたモデルをつくるのは、相対的に簡単です。条件が固定されているからです。難しいのは、どのスマートフォンでどこで撮っても似た値が出るようにすることです。そしてユーザーがそれぞれ自分のスマートフォンで測るサービスなら、必ず難しい方をやり遂げなければなりません。

前の記事で私は、スマートフォンのフロントカメラで肌を分析することは技術的に簡単ではないと書きました。この記事に書いたことが、その難しさの実体です。それでもこの方向を選んだ理由はひとつです。肌データの持ち主は、クリニックのサーバーではなく本人であるべきだと考えているからです。